
長年丹精込めて育てた庭木は、故人の愛着の証です。しかし、不動産や金銭と異なり、庭木や植木は生き物であるがゆえに、相続後の予期せぬトラブルの原因となることがあります。
特に、「隣家との境界線」に関わる問題は、残されたご家族にとって大きな精神的負担となりかねません。終活の一環として、「庭木の相続」にまつわるリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
庭木の相続で起こりがちな3つのトラブル
庭木に関するトラブルは、放置すると深刻な近隣トラブルに発展し、最悪の場合、法的な問題にまで発展する可能性があります。
1.隣地への「枝葉の越境」問題
民法では、隣家の庭木の枝が自分の敷地内に伸びてきても、勝手に切ることは原則としてできません。所有者(相続したご家族)に切るように請求するしかありません。
【対策】:元気なうちに越境リスクの高い大木を整理するか、強剪定して管理しやすい状態にしておくことが、最大の思いやりです。
【問題点】:ご家族が忙しかったり、遠方に住んでいたりすると、すぐに剪定対応ができず、隣家との関係が悪化してしまいます。
2.敷地の「境界線」に立つ木の所有権
もし境界線の真上に木が生えている場合、その木は隣家との共有物となります。勝手に伐採したり、枝を切ったりすることはできません。
【対策】:境界線付近の木については、生前に隣家と話し合い、伐採するか、どちらかの所有物とするか明確にしておくと安心です。
【問題点】:相続人が複数いる場合や、隣家との関係が不明瞭な場合、その木の扱いを決めることが非常に困難になり、トラブルの火種となります。
3.倒木・落枝による「損害賠償リスク」
手入れ不足で腐敗した大木や、台風などで折れた枝が隣家の屋根や車を傷つけた場合、その損害賠償責任は所有者(相続人)に発生します。
【問題点】:故人の死後に高額な賠償請求が発生すると、残されたご家族に経済的な大きな負担がかかります。
【対策】:危険な状態にある庭木(枯れかかっている、傾いている、極端に高い)は、早めに伐採・抜根することが、最も確実なリスクヘッジとなります。
相続人が困らないために!生前にすべき庭木の終活
庭木の終活は、手間をかけることが目的なのではなく、「家族と隣人に迷惑をかけない状態」にすることが目的です。
1.庭木の「リスト化」と「意向の明記」
エンディングノートや財産目録に、庭木(特に大木や境界線付近の木)の場所と、「残したいか、処分してほしいか」の意向を明記しておきましょう。
2.「専門家への相談」と「事前見積もり」
庭木の状態によっては、伐採や抜根に数十万円かかるケースもあります。ご家族が費用を把握できるように、生前の元気なうちに造園業者に相談し、伐採・整地の概算見積もりを取っておくと、相続時の予算計画に役立ちます。
3.「低メンテナンス化」のリフォーム
庭を完全に更地にすることに抵抗がある場合は、管理の手間を極限まで減らすリフォームを検討しましょう。
✅ 植木鉢に移せるものは移動させ、管理場所を限定する。
✅ 剪定しやすい高さに強剪定する。
✅ 土の部分を減らし、防草シートや砂利、タイルで覆う。
終活ホームハンズからのアドバイス
庭木は、家や土地の「付属物」として、手続きなしで自動的に相続されます。しかし、その後の管理責任は相続人が負うことになります。
「いつか誰かがやるだろう」と先延ばしにせず、ご自身の愛情を注いだ庭木が、将来ご家族のトラブルの種とならないよう、元気なうちに整理を進めましょう。それが、ご家族への最も確実な愛情の証です。
終活ホームハンズでは、庭木の整理・伐採・整地に関するご相談や、相続時のリスクを考慮した庭のメンテナンスプランのご提案も行っております。
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