
近年、終活を始める方の間で「保険の見直し」や「新しいタイプの保険加入」が注目されています。単なる「もしも」の備えにとどまらず、「自分らしい最期」を意識した保険の使い方がトレンドになりつつあります。
今回は、そんな保険に関する終活の最新動向について、さらに詳しくご紹介します。
■見直される「葬儀保険」や「弔慰金保険」
「お葬式費用を家族に迷惑かけたくない」「自分のことで家族に負担をかけたくない」と考える方に注目されているのが、少額短期保険のひとつ「葬儀保険」です。これはその名の通り葬儀費用に特化した保険で、数万円〜数十万円という保障額に対し、月々の保険料は数百円〜と非常に手頃なのが特徴です。そのため、終活の一環として加入を検討する人が増えています。
従来の生命保険では、死亡保険金が残された家族の生活費全体をカバーする目的が大きかったのに対し、葬儀保険は「葬儀の費用をまかなう」という具体的な目的に絞られているため、よりシンプルで分かりやすいと好評です。
また、最近では「弔慰金保険」として、現金を自由に使えるタイプもあり、葬儀費用以外に「遺品整理」や「お墓じまい」に充てるケースも出てきています。
■「介護保険」や「認知症保険」も注目度アップ
人生100年時代と言われる現代において、高齢化に伴う「自分自身の介護費用」に対する不安は、多くの人にとって大きな関心事となっています。そこで注目されているのが、介護保険や認知症保険です。
これらの保険は、単に医療費の補填だけでなく、将来的に介護が必要になった場合や認知症を発症した場合に、経済的な支援を受けられるように設計されています。具体的には、
・要介護認定で一時金が受け取れる
・認知症になった場合に給付金が出る
といった内容で、将来的な「施設入所」や「在宅介護」の費用に備えることができます。
「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、介護や認知症はいつ誰に訪れるかわからないものです。これらの保険は、健康なうちに加入することで、より手厚い保障を受けることができる場合が多いので、早めの加入ができるうちに備えることが大切です。
■「保険証券の整理」も立派な終活です
複数の保険に加入している方も多い中、「複数の保険に加入していたけれど、それぞれどんな内容だったか覚えていない…」「家族にどの保険に入っているか伝えていない…」このようなケースは、実は非常に多く見られます。もしもの時に、残されたご家族が故人の加入していた保険を把握できず、手続きに手間取ってしまうという問題も少なくありません。
そこで最近は「保険証券を一か所にまとめる」「デジタルで保険内容を管理する」など、**保険の“見える化”**に注目が集まっています。具体的には、エンディングノードに加入している保険会社の名称、証券番号、連絡先、保障内容の概要などを記入しておく方法や、最近では保険の情報を一元管理できるアプリやサービスも登場しています。
これらの整理を事前に行っておけば、もしもの時にご家族がスムーズに手続きを進めることができ、余計な心労をかけることを防げます。これは、大切な“思いやり”のかたちであり、ご自身の資産管理の一環としても非常に有効な終活です。
■まとめ:保険は‘‘生き方‘‘を映す鏡
保険は、単に万一のリスクに備えるだけの金融商品だけではなく、これからの時代において**「どんな最期を迎えたいか」「誰に何を遺したいか」**という、ご自身の「生き方」や「価値観」を表現する手段にもなっています。
終活の一環として、
- ご自身のライフプランと照らし合わせながら保険の見直しを行う
- 将来の不安に対応できるよう必要に応じた新しい保険の加入を検討する
- 万一の際に家族が困らないよう保険に関する情報の整理・共有を進める
これらの行動は、これからのご自身、そしてご家族への最大限の優しさにつながります。
ご自身の「生き方」を映す鏡として、一度じっくりと保険について考えてみてもよいでしょう。そして、ご家族や大切な方々と、その思いを共有する機会を持ってみてはいかがでしょうか。
